官房長官への提言

AI失業に備える

AI産業革命の恩恵を享受し、AI失業のショックに備えるために

提言書「AI失業」を手に並ぶ木原官房長官とチームみらいのメンバー
10月26日、安野党首、古川幹事長、高山国対委員長が木原官房長官にAI失業対策に関する提言書を手渡しました。
今何が起きている?

AI失業は、遠い未来の話ではない

AI失業AIの普及で人が担う仕事が減り、失業したり就職できなくなったりすること

これまで人が担ってきた業務をAIが代わりに行えるようになることで、仕事のあり方が変わり、私たちの働く場が失われるかもしれません。

将来の国内雇用は縮小すると思う次の20年間で、AIの影響により日本国内の雇用が縮小すると考える回答者の割合参考:Pew Research Center(2026)Globally, More People Expect AI to Cause Job Loss Than Growth
いま20年後(予想)
米国の若年層の雇用、ソフトウェア開発職で約20%減少スタンフォード大学の調査研究では、生成AIと関係が深い職種で若年層の雇用が減少しており、特にソフトウェア開発職では約20%減少した参考:Brynjolfsson, Chandar & Chen(2026)Canaries in the Coal Mine? Six Facts about the Recent Employment Effects of Artificial Intelligence
ソフトウェア開発職の若年層の雇用約−20%

AIは大きく社会を変えつつある

AI産業革命

業務にAIを利用する日本企業業務にAIを利用している日本企業の割合参考:総務省(2026.7)情報通信白書 令和8年版
AIAIを業務に利用未利用

各国では、AIが一部の産業にとどまらず産業革命のように社会のあり方を変えていく兆しがあります。これはもはや研究や一産業にとどまらない変化です。

AI研究産業社会AI研究産業社会
仕事でAIを使う人が業務をAIで自動処理する割合AIを使って働く人のうち、これまで自分がしていた作業の一部をAIが自動で処理するようになった人の割合参考:労働政策研究・研修機構(2025)AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査
自分でする作業AIで自動処理
提言書の前半:なぜ今、「AI失業」に備える必要があるのか

2026年8月から9月にかけて、チームみらいは米国、中国及びフランスを訪問し、AIの研究開発や社会実装に携わる研究者、経営者、政府関係者等との意見交換及び現地調査を行った。あわせて、日本の現状を把握するために、AIが聞き手となる匿名のオンラインインタビュー(以下「AIインタビュー」という。)を実施した。

各国で確認されたのは、AIの性能向上そのものだけでなく、その成果を産業活動、行政サービス、国民生活へ迅速かつ大規模に展開する動きが進展していることである。その光景は、かつての産業革命のように、AIが一部の産業にとどまらず社会のあり方そのものを変えつつあることを予感させるものであった。フィジカルAIの実環境への展開や行政部門でのAI利用など、AIをめぐる国際競争は、研究開発力だけでなく、その成果を社会に実装し、価値へ転換する速度と規模を競う「社会を変える競争」へと広がっている。

こうした社会の変化をめぐっては、いわゆる「AI失業」がしばしば論点となる。現時点では、日本において、大規模な雇用喪失が広く確認されているわけではない。他方、海外では、仕事内容や組織運営、若年者の就業機会などへの初期的な変化が報告され始めている。例えば、スタンフォード大学による米国の調査研究では、生成AIへの曝露度が高い職種で若年層の雇用が減少しており、特にソフトウェア開発職では約20%減少したことが示されている。同研究は、こうした変化を雇用への影響を早期に示す「炭鉱のカナリア」と形容している。

現地調査でも、AIによる仕事や専門性の変化が非常に短い時間軸で訪れるとの声が聞かれた。米国の最先端AIモデル開発者からは「自分のAI研究者としての賞味期限はあと1年だと思う」との言葉もあり、第一線の研究者自身が自らの仕事の変化をこれほど切迫して捉えている事実は、変化の速度を考える上で見過ごせない。AIインタビューでも、「どこの会社も内製するようになり、仕事が減っていて再就職もできないと思っている」(デザイン業)との声が寄せられた。「AI産業革命」の到来を思わせる変化の実感は、研究の最前線に限らない。

もっとも、AIは人の知識や判断を補助し、仕事の効率や質、能力発揮を高めるポテンシャルを有している。変化に対応するための時間や資金、学習機会等は業種や職種によっても異なるものの、AIの社会実装が進むにつれて、幅広い分野で業務の進め方は大きく変容していくと考えられる。実際、AIインタビューでも、「論文調査に1週間で2〜3日費やすこともありました。今は20〜30分で完了してしまいます」(研究職)という恩恵の声や、「業務内容が全く変わってしまった」(エンジニア)など、影響を実感する声は少なくない。

こうした状況を踏まえ、日本においても研究開発を推進するとともに、AIの便益を広く社会に届けることと、制度や社会の側が技術の変化に柔軟に対応できる環境を整えることを、並行して進める必要がある。そこで、政府に対し「AIの社会実装を支える規制・制度改革」と「仕事・雇用の変化に対応する労働政策」を柱として、迅速に対応することを提言する。

実際の声

チームみらいに寄せられた声

米中仏の海外視察や、国内向けのAIインタビュー、様々な専門家へのヒアリングを実施しました

米国・最先端のAIモデル開発に携わる研究者米国現地調査 2026.8–9
自分のAI研究者としての賞味期限はあと1年だと思う
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国内のフリーランスAIインタビュー 2026.9.20
3年以内に私の今の仕事は全てAIに代替され、無くなると感じる
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小規模ソフトウェア会社・決裁層AIインタビュー 2026.9.19
会社が、新卒採用も中途採用も完全に停止した。
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研究職AIインタビュー 2026.9.19
論文調査に1週間で2~3日費やすこともありました。今は20~30分で完了してしまいます。
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会社員AIインタビュー 2026.9.19
人を増やしてほしいというリクエストに対する人事部の初手の回答が「AIで効率化するより安いですか?」に変わった。
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会社員(人事に一部関与)AIインタビュー 2026.9.21
生成AI相手なら同じことを何度聞いても怒られないし、時間的な都合を考慮しなくてもいいから不明点を解決するための対人ストレスが減った。
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求職中AIインタビュー 2026.9.19
いまのうちに経験値を貯めておかないと、今後経験値を貯めるための仕事すらなくなりそうですね。
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会社員AIインタビュー 2026.9.19
データの抽出や分析がデータアナリスト以外もできるようになった
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フリーランス(イラストレーター)AIインタビュー 2026.9.19
イラストレーターをしています。生成AIの普及で依頼が減りました。
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障害者就労の現場AIインタビュー 2026.9.19
特例子会社などの就労の現場では支援プランの作成や1部のPC業務にAIのサポートを得られるので軽度の知的や発達障害であれば業務負荷の軽減に繋がると感じます
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会社員(IT関連)AIインタビュー 2026.9.20
軽い作業に従事していた派遣社員の方が派遣切りにあうなど、人員効率化が進められているのを目の当たりにしています。
元の声を読む
集まったすべての声を見る
チームみらいの提言

政府への2つの提言

1政府AIの社会実装を支える規制・制度改革

AIの変化に先回りして、制度を備えることAIの社会実装を支える規制・制度改革

AIの恩恵を広く社会に届けるため、規制や制度を先回りして見直すよう求めます。

政府は、AIの社会実装を支える規制・制度について、既存の取組を着実に進めつつ、以下の対応を進めるべきである。

1

省庁の壁をこえて
課題を把握する

AIを社会で使う上での規制や制度の課題を、省庁をまたいで整理し、必要な見直しにつなげる。

詳しく読む

主な関係府省庁:内閣府・内閣官房・各府省庁 等

  • 官民投資ロードマップなどで見つかった規制・制度の課題を、担当省庁・対応方針・進み具合ごとに横断的に整理し、必要な見直しへ確実につなげる
  • 対応方針が決まっていない課題も、その後の扱いを明らかにする
  • 規制改革実施計画で整備することになった「一元的窓口」を、相談先の案内や振り分けだけでなく、事前相談を始められる入口に
  • 事業の概要など共通する情報は、関係する制度・省庁間でできる限り引き継ぎ、同じ情報の繰り返しの提出を減らす

規制・制度上の課題を横断的に把握し、必要な対応につなげる

主な関係府省庁:内閣府・内閣官房・各府省庁 等

官民投資ロードマップ等で把握された規制・制度上の課題について、所管府省庁、対応方針及び進捗を横断的に整理し、必要な規制・制度の見直しへ確実につなげるべきである。対応方針が定まっていない課題についても、その後の取扱いを明らかにすること。

また、規制改革実施計画で整備することとされた一元的窓口については、相談先の案内や案件の振分けにとどめず、各種の規制改革関連制度の事前相談を開始できる入口として機能させるべきである。その際、事業概要や相談事項等の共通する情報については、関係する制度・府省庁間で可能な限り引き継ぎ、同じ情報の繰り返しの提出を減らすこと。

2

新しい技術に先回りして制度・手続きを整える

新しい技術が実用化される前から、利用条件や新たな評価方法の受入れ方を検討する。

詳しく読む

主な関係府省庁:各府省庁・デジタル庁 等

  • 実用段階に達する前から技術の動きをつかみ、受け入れの扱い・利用条件・基準を早めに検討する
  • これまで実験や試験が必要だった評価の一部をAIのシミュレーションや分析で代替できるようになった場合も、一定の条件を満たせば新しい評価方法を使えるよう、受け入れの考え方をあらかじめ検討する
  • 法令をつくったり改めたりするときは、「人がやる」「特定の技術・機器を使う」を不必要に固定しない
  • 新たに設ける申請・届出・認定などは、紙をPDFやメールに置き換えるだけでなく、申請から処分までデジタルで完結する形を基本に

新技術の社会実装を見据え、制度・行政手続を先回りして整える

主な関係府省庁:各府省庁・デジタル庁 等

新しい技術やサービスが実用段階に達する前から技術動向を把握し、安全性や権利保護等を確保しつつ、その受入れに必要な制度上の取扱い、利用条件、基準等を早い段階から検討すべきである。例えば、従来は実験や試験を必要としていた評価の一部をAIによるシミュレーションや分析で代替できるようになった場合にも、一定の条件を満たせば新たな評価方法を利用できるよう、受入れの考え方をあらかじめ検討すること。

また、法令の新設・改正に当たっては、人による実施や特定の技術・機器を不必要に固定しない制度設計とすべきである。

このほか、新たに設ける申請、届出、認定等についても、紙をPDFや電子メールに置き換えるだけでなく、入力情報を行政内部で処理・再利用でき、申請から処分までデジタルで完結できる形を基本とすること。

3

迅速な制度改善にAIをフル活用

AIで法令を横断点検し、見直すべき点を洗い出す。法律や制度の構造を整理するリファクタリングの発想などを取り入れる。

詳しく読む

主な関係府省庁:デジタル庁・各府省庁 等

  • 法律づくりでの生成AI活用を、作成や審査の効率化だけでなく、今ある規制・制度の点検・見直しにも広げる
  • その一例として、言葉の検索だけでなく、意味や法的な概念の単位で法令を横断的に点検する、法律・制度の「リファクタリング」の手法も考えられる
  • AIが見つけた候補は、職員が確認したうえで見直しに使う

AIを活用し、既存の規制・制度を継続的に点検・改善する

主な関係府省庁:デジタル庁・各府省庁 等

法制事務における生成AIの活用を、法案作成や審査等の効率化にとどめず、既存の規制・制度の継続的な点検・見直しにも広げるべきである。

その一例として、従来の文言検索だけでなく、AIを用いて意味内容や法的概念の単位で法令を横断的に点検し、全体の構造を整理して見通しをよくする、いわば法律・制度の「リファクタリング」の手法も活用することが考えられる。その際、AIによる抽出結果は、各府省庁において職員が確認した上で、制度・運用の見直しに活用すべきである。

2政府AIによる仕事・雇用の変化に対応する労働政策

仕事の変化をとらえ、働く人を支援することAIによる仕事・雇用の変化に対応する労働政策

AIで雇用や働き方がどう変わり、人々がその変化に対応できているかを国が調べ続け、その結果を政策の判断につなげるよう求めます。

政府は、AIによる労働市場の変化と人々の適応状況等に関する調査研究に継続的に取り組み、その結果を必要な政策判断に適切につなげることで、AIによる変化に対応できる労働市場の形成に取り組んでいくべきである。

1

働き方の変化を捉え、
政策に活かす

働き方の変化と、人々がそれに対応できているかを国が継続的に調査・分析し、政策に生かす。

詳しく読む

主な関係府省庁:内閣府・厚生労働省 等

  • 仕事の中身・求められるスキル・働く環境の変化と、人々が対応できているかを継続的に分析する
  • 職種・産業・年齢・雇用形態・企業規模・地域による違いにも注目する
  • 内閣府・厚生労働省などが連携し、結果と課題を定期的にまとめ、支援の重点化や制度の見直しに反映する

仕事・雇用の変化と人々の適応状況を把握し政策判断につなげる

主な関係府省庁:内閣府・厚生労働省 等

AIの発展に伴う仕事内容、スキルニーズ、労働環境等の変化と、人々がそれらに対応できているかを継続的に把握・分析すること。その際、職種、産業、年齢、雇用形態、企業規模、地域等によって、変化の表れ方や対応の難しさが異なる可能性にも着目する。内閣府・厚生労働省をはじめとする関係府省庁が連携し、分析結果と政策上の課題を定期的に取りまとめ、必要な支援の重点化や制度・運用の見直しなど、具体的な政策判断へ反映すべきである。

2

一人ひとりの学び直しと
キャリアを支える

AIによって仕事に変化があっても、一人ひとりの経験や希望に応じて学び直しとキャリア選択を支える。

詳しく読む

主な関係府省庁:厚生労働省・文部科学省・経済産業省 等

  • 今の仕事でAIを使う、社内で職務を変える、経験を活かして別の仕事へ移る。どの道にも伴走型の支援を
  • 学校から仕事へ移る若い人が、実務でAIを使いながら判断力や専門性を養えるよう、制度面から後押しする
  • 就職氷河期世代や非正規で働く人など、力をつける機会が限られてきた人や、育児・介護をしながら学ぶ人にも、訓練やキャリア相談を届ける
  • 公的職業訓練は、AIの動きや仕事の需要の変化に合わせて中身を見直し、修了後の就職や賃金も確かめて改善する

仕事・雇用の変化と人々の状況に応じて能力形成・就業を支える

主な関係府省庁:厚生労働省・文部科学省・経済産業省 等

AIによる仕事・雇用の変化と人々が直面する個別の制約を踏まえ、本人の経験や希望に応じて必要な能力形成・就業支援を利用できる環境を整えること。その際、現在の仕事でAIを活用すること、企業内で職務を変えること、経験を活かして別の仕事へ移ることなど、多様なキャリア・パスが実現できるよう伴走型の支援を実施すべきである。

学校から職業生活への移行期にある若年者に対しては、実務を通じたAI活用の経験を提供しながら、判断力や専門性を養えるよう制度面から後押しすべきである。また、就職氷河期世代や非正規雇用で働く人のうち、雇用環境等の事情により能力形成の機会が限られてきた人や、育児・介護等の制約を抱えながら能力形成に取り組む人にも、訓練やキャリア相談が届くようにする。

公的職業訓練は、AIの技術・利用動向や労働需要の変化を踏まえ、必要となる知識・スキルに応じて訓練内容を機動的に見直すべきである。あわせて、修了後の就職や賃金等の成果を把握し、訓練内容や支援の改善に反映すること。

3

AI時代にあわせた
暮らしの支援と権利保護

仕事が変わっても必要な支援が途切れないよう制度を整える。AIを使う職場でも働く人の権利と安全を守るAIガバナンスを推進する。

詳しく読む

主な関係府省庁:内閣官房・厚生労働省 等

  • 学び直しや転職のあいだも支援が途切れないよう、今の生活保障制度が変化に対応できるかを点検する
  • 自分からは支援を利用しにくい人への働きかけ(アウトリーチ)にも配慮する
  • 雇用や所得が大きく変わったとき、制度が参照する所得情報との時間差で給付・負担が実際の暮らしとずれないよう、変化を早くつかんで判定や支援に反映する仕組みを検討する
  • AIを使った業務指示などが広がっても、人間中心の職場づくりとAIガバナンスの整備・強化で、働く人の権利と安全を守る。政府は企業の取り組みを後押しし、必要な制度・運用の対応を進める

AI時代に対応した生活保障と労働者保護

主な関係府省庁:内閣官房・厚生労働省 等

AI時代の仕事・雇用の変化に対応するため、能力形成や就業移行の過程で必要な支援が途切れないよう、既存の生活保障制度が変化に対応できるかを点検すること。その際、自発的には支援を利用しにくい人への「プッシュ型」の働きかけにも配慮すること。

また、雇用や所得が大きく変化した際に、制度が参照する所得情報等との時間差によって実際の生活状況と給付・負担にずれが生じないよう、適時に変化を把握し、必要な判定・支援へ反映できる仕組みを検討すること。

さらに、AIを用いた業務指示等が広がる中でも、能力発揮を支えるAIガバナンス等の整備・強化を進めることで、働く人の権利と安全を守ることが重要である。政府は、こうした企業の取組を後押しするとともに、必要な制度・運用上の対応を進めるべきである。

提言書の後半:政府に求めた2つの提言

提言1.AIの社会実装を支える規制・制度改革

政府は、AIの社会実装を支える規制・制度について、既存の取組を着実に進めつつ、以下の対応を進めるべきである。

(1)規制・制度上の課題を横断的に把握し、必要な対応につなげる

主な関係府省庁:内閣府・内閣官房・各府省庁 等

官民投資ロードマップ等で把握された規制・制度上の課題について、所管府省庁、対応方針及び進捗を横断的に整理し、必要な規制・制度の見直しへ確実につなげるべきである。対応方針が定まっていない課題についても、その後の取扱いを明らかにすること。

また、規制改革実施計画で整備することとされた一元的窓口については、相談先の案内や案件の振分けにとどめず、各種の規制改革関連制度の事前相談を開始できる入口として機能させるべきである。その際、事業概要や相談事項等の共通する情報については、関係する制度・府省庁間で可能な限り引き継ぎ、同じ情報の繰り返しの提出を減らすこと。

(2)新技術の社会実装を見据え、制度・行政手続を先回りして整える

主な関係府省庁:各府省庁・デジタル庁 等

新しい技術やサービスが実用段階に達する前から技術動向を把握し、安全性や権利保護等を確保しつつ、その受入れに必要な制度上の取扱い、利用条件、基準等を早い段階から検討すべきである。例えば、従来は実験や試験を必要としていた評価の一部をAIによるシミュレーションや分析で代替できるようになった場合にも、一定の条件を満たせば新たな評価方法を利用できるよう、受入れの考え方をあらかじめ検討すること。

また、法令の新設・改正に当たっては、人による実施や特定の技術・機器を不必要に固定しない制度設計とすべきである。

このほか、新たに設ける申請、届出、認定等についても、紙をPDFや電子メールに置き換えるだけでなく、入力情報を行政内部で処理・再利用でき、申請から処分までデジタルで完結できる形を基本とすること。

(3)AIを活用し、既存の規制・制度を継続的に点検・改善する

主な関係府省庁:デジタル庁・各府省庁 等

法制事務における生成AIの活用を、法案作成や審査等の効率化にとどめず、既存の規制・制度の継続的な点検・見直しにも広げるべきである。

その一例として、従来の文言検索だけでなく、AIを用いて意味内容や法的概念の単位で法令を横断的に点検し、全体の構造を整理して見通しをよくする、いわば法律・制度の「リファクタリング」の手法も活用することが考えられる。その際、AIによる抽出結果は、各府省庁において職員が確認した上で、制度・運用の見直しに活用すべきである。

提言2.AIによる仕事・雇用の変化に対応する労働政策

政府は、AIによる労働市場の変化と人々の適応状況等に関する調査研究に継続的に取り組み、その結果を必要な政策判断に適切につなげることで、AIによる変化に対応できる労働市場の形成に取り組んでいくべきである。

(1)仕事・雇用の変化と人々の適応状況を把握し政策判断につなげる

主な関係府省庁:内閣府・厚生労働省 等

AIの発展に伴う仕事内容、スキルニーズ、労働環境等の変化と、人々がそれらに対応できているかを継続的に把握・分析すること。その際、職種、産業、年齢、雇用形態、企業規模、地域等によって、変化の表れ方や対応の難しさが異なる可能性にも着目する。内閣府・厚生労働省をはじめとする関係府省庁が連携し、分析結果と政策上の課題を定期的に取りまとめ、必要な支援の重点化や制度・運用の見直しなど、具体的な政策判断へ反映すべきである。

(2)仕事・雇用の変化と人々の状況に応じて能力形成・就業を支える

主な関係府省庁:厚生労働省・文部科学省・経済産業省 等

AIによる仕事・雇用の変化と人々が直面する個別の制約を踏まえ、本人の経験や希望に応じて必要な能力形成・就業支援を利用できる環境を整えること。その際、現在の仕事でAIを活用すること、企業内で職務を変えること、経験を活かして別の仕事へ移ることなど、多様なキャリア・パスが実現できるよう伴走型の支援を実施すべきである。

学校から職業生活への移行期にある若年者に対しては、実務を通じたAI活用の経験を提供しながら、判断力や専門性を養えるよう制度面から後押しすべきである。また、就職氷河期世代や非正規雇用で働く人のうち、雇用環境等の事情により能力形成の機会が限られてきた人や、育児・介護等の制約を抱えながら能力形成に取り組む人にも、訓練やキャリア相談が届くようにする。

公的職業訓練は、AIの技術・利用動向や労働需要の変化を踏まえ、必要となる知識・スキルに応じて訓練内容を機動的に見直すべきである。あわせて、修了後の就職や賃金等の成果を把握し、訓練内容や支援の改善に反映すること。

(3)AI時代に対応した生活保障と労働者保護

主な関係府省庁:内閣官房・厚生労働省 等

AI時代の仕事・雇用の変化に対応するため、能力形成や就業移行の過程で必要な支援が途切れないよう、既存の生活保障制度が変化に対応できるかを点検すること。その際、自発的には支援を利用しにくい人への「プッシュ型」の働きかけにも配慮すること。

また、雇用や所得が大きく変化した際に、制度が参照する所得情報等との時間差によって実際の生活状況と給付・負担にずれが生じないよう、適時に変化を把握し、必要な判定・支援へ反映できる仕組みを検討すること。

さらに、AIを用いた業務指示等が広がる中でも、能力発揮を支えるAIガバナンス等の整備・強化を進めることで、働く人の権利と安全を守ることが重要である。政府は、こうした企業の取組を後押しするとともに、必要な制度・運用上の対応を進めるべきである。

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提言のプロセス

提言を出して終わりではありません

提言は現場の声からつくられました。今後も皆さまの声を踏まえてアップデートを続けます。

聴く

  1. 2026.08–09

    米中仏の海外現地調査

    米国視察、フランス視察などで研究者・経営者・政府関係者と意見交換

  2. 2026.09

    現場の声を集める

    国内で500件以上のAIインタビューを実施

磨く

  1. 2026.09–10

    政策を磨き、提言書を作成

    声やファクトを元に、専門家を交えて作成

動かす

  1. 2026.10.26

    木原官房長官に提言書を提出

    党首から提出しました

また聴く

  1. 2026.10

    AIインタビュー第2弾

    今回の提言へのご意見を募集

    受付中・回答する ↑

磨く

  1. 今後

    政策をさらに磨く

    AIと仕事の変化を継続調査しながら、政策をアップデート

伝える

  1. 2026.10.26

    本webサイトを公開

    提言内容をできるだけわかりやすく公開

    いまここ
聴く・磨く・動かす・伝えるとは?:チームみらいのデジタル民主主義
1聴く2磨く3動かす4伝える全体ループを
回す
チームみらいのデジタル民主主義サイクルさまざまな立場の人の声を広く・深く・速く聴いて、その声で案を磨き、国会と政府を動かし、結果を伝えます。これを私たちはAI時代の民主主義だと考えています。
  1. 1聴くできるだけ幅広く声を集める
  2. 2磨く集まった声をもとに政策を磨く
  3. 3動かす国会と政府を動かす
  4. 4伝える結果やプロセスを伝え、次の聴くにつなげる
  5. 全体ループを回す聴くから伝えるまでを一周させる
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